第8話】自分の言いたいことを伝える技術|Sales Trekポッドキャスト
自分の言いたいことを伝える技術:効果的なコミュニケーション術
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エピソード概要
第8話では、「自分の言いたいことがうまく伝わらない」という多くの営業が抱える悩みを解決する技術について詳しく解説します。実演販売の達人や漫才師の弟子から学んだコミュニケーション術、そして抽象度を活用した効果的な説明方法まで、実践的な伝達技術をお伝えします。
この回の重要ポイント
🎯 人それぞれ異なるイメージ
同じ言葉でも人によって頭の中に描かれる映像は千差万別
🛍️ 実演販売の知恵
人によって欲しい内容が違うので、多様なストーリーで説明する
📺 映像化コミュニケーション
自分の頭の中にあるものを細部まで言語で描写して伝える
📈 抽象度の活用
大きな概念から詳細へ、段階的に理解度を深める説明法
詳細な内容
営業でよくある「伝わらない」問題
ミーティングで自社の製品やサービスについて説明する際、聞いている人の反応は様々です。頷いている人もいれば、難しい顔をしている人もいます。説明が終わった後に「この辺お分かりになりましたか?分からない部分があるようでしたら補足で説明しますがいかがですか?」と聞いても、なかなか「ここが分からない」とは言ってもらえません。
しかし、明らかに分かっていない様子が見て取れることもよくあります。自分が説明していても、相手に伝わっていることもあれば伝わっていないこともあります。どのように人に自分が考えていること、言いたいことを伝えるか、良い方法はないものでしょうか。
実演販売の達人から学ぶコミュニケーション術
以前、実演販売の達人である女性のお話を聞く機会がありました。この方は、デパートでスライサーなどの実演販売をしている専門家で、研究と実践を重ねて売上日本一にもなったという実績を持つ方でした。
🏆 実演販売の特徴
実演販売は、素通りする人に立ち止まって話を聞いてもらい、製品の機能や便利さに加えて相手の感情を動かして、その場で買ってもらうという非常に難しい商売です。
彼女が気づいたのは、「人によって欲しい内容が違う」ということでした。つまり、人によって頭の中に描かれる利用シーンが違うので、それを考えていろんなシーンのストーリーを作って、いろんな人向けに説明をするということを実践していたのです。
「犬の写真」実験:人それぞれのイメージの違い
その実演販売の達人が行った非常に印象的な実験があります。セミナーで以下のような質問をしました:
🐕 犬の写真実験
質問
「皆さん、犬の写真を自分の頭の中に描いてみてもらえますか?」
確認
会場の前の方に座っていた10人ぐらいに「あなたはどんな犬を想像したんですか?」と順番に聞いていく
結果
全員が違う犬の写真のイメージをしていることが判明
結果は驚くべきものでした:
- 白黒の犬の写真をイメージしている人
- 家族と一緒に写っている写真をイメージする人
- 子犬の写真をイメージする人
- でっかい成犬の犬をイメージする人
本当に千差万別で、いろんな犬をイメージしていました。つまり、「犬」という単純な言葉でも、人それぞれ思い描くことは違うのです。何か説明をしたとしても、それぞれの方が頭の中でイメージするものは全部違うということがよく理解できました。
漫才師の弟子から学んだコミュニケーションの本質
別の機会に、コミュニケーションについて興味深い話を聞きました。それは話し方教室で、昔の漫才師・青空球児・好児さんの弟子という方が講師をされていた時のことです。
🎭 漫才師から学ぶコミュニケーション
講師:「君ね、コミュニケーションってどういうものか分かる?」
生徒:「普通に人と話すことなんじゃないですか?」
講師:「いやいや違うんだよ。コミュニケーションってのはね、自分の頭の中にあるものを相手に伝えることなんだよ。」
そして実践的な説明が始まりました:
🎨 映像化練習の実例
「目を瞑って、僕が今から伝えるからそれを君の頭の中でイメージしてください。 まず目の前に緑の芝生が見えます。その緑の芝生の右手を見ると茶色の壁の平屋の一軒家があります。その一軒家には窓が2つあって、その窓は高さが1m横幅2mぐらいの窓です。その家の中には牛が何頭か見えています。 そして左側を見ると、左側には小川が流れていて、その先には白い塀があるのが分かります。そしてその脇に1本だけ大きな木が立っています。」
この説明により、頭の中にその情景がはっきりと浮かんできました。
講師が伝えたかったのは、自分の頭の中に描いていることを、細かく言語で言葉で映像を描写して、それをうまく伝えることができると、うまくコミュニケーションが取れて人との間で理解が進むということでした。
効果的な説明の技術:抽象度の活用
コミュニケーションで自分の言いたいことが相手に伝わらない原因は、まず自分の頭の中で「どういうものを伝えるか」がしっかりイメージできているかどうかです。
📋 効果的な伝達プロセス
1. 自分の中でのイメージ化
伝えたいことを明確にイメージし、必要に応じて書き出す・パソコンで打ち込む
2. 何を伝えたいかの整理
そのものに対して何を伝えたいのかを明確にする
3. 抽象度を上げる
大きな概念から説明を始める
4. 抽象度を下げる
詳細(ディテール)について具体的に説明する
抽象度活用の具体例
例えば、iPhoneを説明する場合:
📱 iPhone説明の段階的アプローチ
高い抽象度(大きな概念)
「iPhoneというのはスマートフォンです」
「電話の一種ですよね」
中程度の抽象度
「その電話は両面ガラスになっていて」
「横幅が10cm縦が20cmの大きさです」
低い抽象度(詳細)
具体的な機能や特徴について詳しく説明
このように、抽象度を上げて大きなところから説明し、そこから抽象度を下げてディテールを説明していくと、理解がしやすくなります。
練習により誰でも上達可能
伝える技術がうまくいかない原因は主に以下の2点です:
❌ よくある問題点
- 自分の中でイメージがしっかり持てていない
- それをうまく言語化できていない
✅ 改善方法
- 自分の頭の中で伝えることを整理する
- 言語化してどの要点で伝えるかを考える
- どの順番で伝えるかを検討する
- 何度か繰り返して練習する
誰でも練習すればある程度うまくなることができます。自分が伝えたいと思うことがうまく伝わらないと感じている方は、まず自分の頭の中で伝えることを整理し、それを言語化して練習を重ねることで、だんだん自然に話せるようになってきます。
今回のポイント
効果的なコミュニケーションは技術と練習で身につく
人それぞれ異なるイメージを持つことを理解し、映像化技術と抽象度の活用により、自分の思いを正確に相手に伝えることができるようになります。
Sales Trekポッドキャストについて
外資系IT企業でカントリーマネージャーを務めた経験を持つ酒井秀樹が、日本と外国の間で学んだ法人営業のノウハウを分かりやすく伝えるポッドキャストです。B2Bセールスや営業戦略に関する実践的な内容を、週1回約10分でお届けしています。
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