【第9話】顧客の真の課題を見つける技術|Sales Trekポッドキャスト
顧客の真の課題を見つける技術:診断型質問技法の活用
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エピソード概要
第9話では、B2B営業で最も重要な「顧客の真の課題を見つける技術」について詳しく解説します。診断型質問技法の活用方法から、ビジネスプロセス分解による課題発見、思い込みを避ける方法まで、顧客の本当のニーズを引き出す実践的な手法をお伝えします。
この回の重要ポイント
🎯 真の課題の重要性
お客様の本当の狙いやプライオリティを理解することが成功の鍵
🩺 診断型質問技法
医師の問診のように、症状から根本原因を特定する質問手法
⚙️ プロセス分解アプローチ
ビジネスプロセスを細分化して網羅的に課題を発見する手法
📈 大きな課題の発見
ビジネスインパクトが大きい課題を見つけることで大きな商談に
詳細な内容
課題確認の重要性
初めてのお客様とのミーティングで、相手が案件をリードする企画立案者であることが確認でき、すでに社内で意思決定に向けて動き出していることも確認できたら、次に重要になるのはお客様の課題と自分たちが持っているソリューションがお客様の期待値に合うかを確認することです。
しっかりとお客様の真の課題と期待している効果を確認することがポイントです。この認識がずれてしまうと、せっかく上に上げても検討で落とされてしまうことがあります。
⚠️ 課題認識のズレがもたらすリスク
- 提案が的外れになってしまう
- 社内検討で却下される
- 信頼関係にひびが入る
- 次のステップに進めない
表面的な課題では不十分
事前準備でお客様のビジネスの概要や想定課題はこちらも分かっています。ミーティングでそれをお客様に当ててみて、相手の反応を見て「まんざらでもないな」という感触を得たとしても、それだけでは十分ではありません。
なぜなら、相手の企画担当者が考える複数のアイデアの1つを満足しているに過ぎない可能性があるからです。相手が考える本当の狙い、もしくはプライオリティの高い狙いを理解することがとても重要です。
🔍 真のニーズ発見のポイント
それを確認して、それに対して自社が持つソリューションがどの程度をカバーできているか、相手が納得してそれを欲しいと思ってくれるかが、とても大切なポイントになります。
大企業のガードの硬さと信頼関係構築
相手に切り込んで「ここのところどうなんですか?」という感じで確認できればいいのですが、こちらの価値を認めない限り、相手もなかなか心を許して話をしてくれることは少ないものです。
相手もやはり慎重です。自社の弱みや機密情報になるようなことを相手に話すわけですから、信頼していないとなかなか話せませんし、こちらの価値を認めてもらえないと相手も話してはくれません。
🏢 大企業が慎重な理由
- 売り込みが多い:日常的に多くの営業を受けている
- 機密保持:誰にでも手の内を見せることはしない
- リスク管理:情報漏洩を極端に警戒している
- 慎重な判断:失敗の責任を取りたくない
大企業であればあるほど、そうしたガードは硬いものです。ある程度の関係づくりもしくは信頼されるような立ち振る舞いなどが必要になるでしょう。
事例を餌にした課題発見
そういう時には、相手が興味がありそうな「この辺りで効果が期待できるような」事例などを餌にして、相手の関心度合いを高めてみることが効果的です。
相手がいくつか出したアイデアの中で「これなら使えるかもしれない」と思ってもらえたら、向こうは「もしかしたら口走ってしまう」可能性もあります。
営業だけではなく、インサイドセールスによる訪問前の関係づくりがあれば、初めてのお客様でもスムーズに話をつなげることができるかもしれません。
診断型質問技法とは
そのような話をしていて、相手が「実はこうしたこともあるよ」という風に話してくれたら、それは大きなチャンスです。そんな時は、じっくりと相手の課題を相手の話を否定しないで聞くことがポイントです。
そこで有効なのが「診断型質問技法」です。これは、お医者さんが患者を問診して病名を特定するような時に行う質問技法をイメージしてもらえば分かりやすいでしょう。
🩺 診断型質問技法の例(医師の問診)
症状:お腹が痛い
🔸「昨日は何を食べましたか?」
🔸「今日の朝は熱がありましたか?」
🔸「昨日便は出ましたか?」
🔸「いつからお腹が痛いのですか?」
深掘り:「昨日の夜、普段食べないもの食べたんです。肉が少し生だったかもしれません」
→「一緒に食べた人はどうでしたか?」「どれぐらい量食べましたか?」
このように、可能性があると思ったら深掘りをして聞いていくことで、症状を絞り込んでいきます。これが診断型の質問技法です。
ビジネスプロセス分解による課題発見
このやり方は、ビジネスでも同じような形で行うことができます。特に効果的なのは、相手のビジネスプロセスをある程度分解して、プロセスごとに課題がないかを1つ1つ確認していくやり方です。
⚙️ プロセス分解による質問例
🔹「今どのようなプロセスをやっているんですか?」
🔹「何人ぐらいでやっているんですか?」
🔹「そこにはどのぐらいの時間をかけてやっているんですか?」
🔹「何でやっているんですか?」
🔹「それをやることによってどんなメリットがあるんですか?」
🔹「そこで時間がかかっているようですけども、何か不満が出てたりしないんですか?」
もし課題がありそうな箇所があれば深掘りをして課題を特定していきます。このような質問技法を使えるようになると、相手も気づかないような改善課題を見つけることができるようになってきます。
1つ1つ聞いていくと「あそこに確かに問題があるかもしれないな」ということが分かったりすることもあります。
思い込みの危険性
相手の課題の確認で陥りやすいのが「思い込み」だと思います。相手の真の課題までたどり着かずに、勝手に営業が「相手の課題は多分これなんじゃないの」と思ってしまって、それ以上探索しなくなってしまうことです。
⚠️ 思い込みの危険性
- 勘違いをして相手が本当に思っていることと違うことを理解
- そのまま提案してしまう形になる
- 結果的に案件が進まない
- 信頼を失うリスク
これは避けなければいけません。
大きな課題を見つけることの重要性
課題は、大きな課題を見つければ見つけるほど良いものです。なぜなら、大きな課題はビジネス効果も大きいので、結果的に大きな商談に結びつく可能性が高いからです。
📈 大きな課題発見のメリット
❌ 小さな課題の場合
- 小さな商売にしかならない
- 「こんな小さいことに金かけてやるのか」と跳ねられる
- 意思決定者の関心を引けない
✅ 大きな課題の場合
- 大きなビジネス効果が期待できる
- 意思決定者の関心を引ける
- 大きな商談に発展する可能性
課題を見つける際には、相手の会社に対するビジネスインパクト、ビジネスにどれぐらい影響があるのか、どれぐらいの価値を提供できるのか、そういうことを考えるのが重要です。
段階的な課題解決提案
お客さんと話をしていく中でいろんな課題が出てきますが、どの課題に手をつけるのか、どの課題から先にやるのか、どんな順番でやるのか、その辺りについてもお客さんとじっくり話ができるような関係になることが重要です。
🚀 理想的な提案の流れ
「じゃあこれから行きましょうよ。次はこれですね。その次これですよ。それを段階的にやれば、トータルで結構いい効果が出ますよ」
このような話ができるようになってくると理想的です。
今回のポイント
診断型質問技法で顧客の真の課題を発見する
医師の問診のように段階的に質問を深め、ビジネスプロセスを分解して網羅的に課題を発見し、大きなビジネスインパクトのある課題に焦点を当てることが成功の鍵となります。
Sales Trekポッドキャストについて
外資系IT企業でカントリーマネージャーを務めた経験を持つ酒井秀樹が、日本と外国の間で学んだ法人営業のノウハウを分かりやすく伝えるポッドキャストです。B2Bセールスや営業戦略に関する実践的な内容を、週1回約10分でお届けしています。
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