エピソード概要
セールスディレクター時代に経験した、超大手企業での思い出深い敗戦について詳しく解説します。数年かけて構築した深い関係性と豊富な実績があったにも関わらず、最終的に敗北に終わった案件から学んだ貴重な教訓をご紹介します。
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数年かけた関係構築
大変良いお客様で、とても大きな組織。距離感を掴み、お客様の輪の中に入る仲間になるために何度も足繁く通いました。
- 訪問頻度: 週3〜4日
- 関係構築先: 10部門以上
- 継続期間: 数年間
構築した関係の範囲
- 本社情報システム部門 — メインの窓口
- 他事業部・事業所 — 幅広い部門との接点
- 子会社 — グループ全体への展開
- CIOとの定期面談 — トップレベルとの関係
- 外資系本社役員 — 来日時の必須ミーティング
構築した優位性
- 🏆 競合優位性 — 競合他社に比べてもかなりの実績を保持
- 🤝 社内支援者 — 様々な情報をくれる支援者が次第に増加
- 🔄 継続展開 — ある事業部での成功が他部門紹介につながる
- 📋 精密プラン — アカウントプランを精密に作成・共有
アカウントプランの精度:どこに誰がいて、どのシステムが入っているかをかなりの精度で把握。この情報をお客様側の担当者とも共有していました。
転機となった新たな案件
昔から懇意にしている方が数名いる事業部で新たな相談があることが判明。早速情報収集を開始し、様々な角度から総合的な状況把握を実施。
実施した準備:
- 情報収集:事業部+本社側からの多角的情報収集
- 環境分析:事業部を取り巻く環境の把握
- 課題特定:解決すべき課題の明確化
- オポチュニティプラン:綿密なプラン作成
- 顧客共有:プランと提案をお客様と共有
予想外の展開
途中まで順調だったが、対象事業部の事業責任者が競合と懇意にしているという情報が入ってきました。しかも、すでに競合の役員レベルとも数回会っているらしいと。
当初の安心感
- 担当者レベルでかなり懇意にしていた
- 本社ともつながっていた
- 「この案件はそこまで上に行かなくても大丈夫」という判断
危機感の芽生え
情報を聞いた瞬間に「何か普段とは違う感覚」を感じ、すぐさま上層部へのアプローチを開始。
最後の攻防戦
あらゆる経路でのアプローチ:
- 自社役員 — 日本法人の役員・社長
- 海外本社 — 海外本社役員
- パートナー — 同じように入り込んでいるベンダー・コンサル
競合もしたたかで、こちらが入り込む隙を作らないようにガードを固め、我々が入り込めないように画策。
1ヶ月間の悪戦苦闘。毎日のように相手企業に伺い、様々な人と会い、情報をもらい悪戦苦闘。その間に案件は粛々と進行し、提案終了→結果待ちフェーズに突入。
冷静な分析から得た学び
判断ミス
当初から事業部長と競合が懇意な関係であり、その方が推進者で決定者でした。多くのディールで最終意思決定者が事業部長クラスのケースもあれば、そうじゃないケースもあり、このケースでは事業部長ではないと思っていたが、勘が外れてしまった。
真の敗因
- 事業部長との関係構築不足 — 彼に会えなかった
- 最終意思決定者の誤認 — 判断を誤った
- 競合の優位性見落とし — 既存関係を軽視した
営業成長への示唆
営業として育つには時間がかかります。様々な案件にチャレンジする中で、自分なりのやり方や勝ちパターンなどが見えてきます。
エンタープライズ営業は法人を相手にする営業。高額商品を大企業に販売する最も高度で複雑な営業だと思います。
同じ状況が来るとは限りません。営業案件は一つ一つ違うので、前の経験が必ず生かせるわけではありません。でも様々な案件をこなしているとだんだんと色々なことが分かってきます。
「いいことばかりではなくて、こんなこともある。その中で、じっくりと育っていく。それがエンタープライズ営業ではないかと思います。」
シリーズとの関連
これまでの第1-13話では営業技術や成功手法を中心に解説してきましたが、第14話では負ける案件から学ぶ重要性を実体験で示しました。
次回予告
第15話では、さらなるB2B営業の実践的ノウハウについて解説予定です。
ポッドキャストについて
外資系IT企業でカントリーマネージャーを務めた経験を持つ酒井秀樹が、日本と外国の間で学んだ法人営業のノウハウを分かりやすく伝えるポッドキャストです。B2Bセールスや営業戦略に関する実践的な内容を、週1回約10分でお届けしています。




